必衰

両親を見ていると人間は必衰なのだと嫌でも思い知らされる。それでいて中身はちっとも変わらないのだから何とも可笑しい。

親父は何かと病院にかかる頻度が増えてきた。原因の一つに運動不足があることは明らかだ。それを伝えても「そうだな」と言うばかりでちっとも行動には移さない。

まさにそういう口だけのところが嫌いなのだが、もちろん本人がそれに気付くことはない。そして、ただ単に嫌われていると思い込んでいる。

元々一人で外出する習慣のなかった親父にとっては、近くの公園を一人で散歩することさえ苦行なのかもしれない。だからといって現状に甘んじていい理由にはならない。

期待すればするほど余計に失望の機会を得ることになる。だからもう、親父には何の期待もしていない。これまでも散々失望させられてきたのだから。

といっても本人に失望させてやろうという意図は一切なかった。勝手に期待したこちらに非がある。とにかく今は本人の望みがいち早く叶うことを願うばかり。