
個人ブログからの自選シリーズ。
朝から小説の続きを書いていると、この場面を書くにはどうもベローチェがぴったりな気がしてきた。週末だったがひとまず行ってみることにした。
意外にも空いていた。やはり主は必要なものを必要なときに与えてくださる。十字を切って感謝した。私たちは結局のところ、舞台の上で踊らされる操り人形のようなものだ。それにさえ気が付ければもう何も憂うことはない。
続きを書き始める。Tと初めてスタジオに入った後カフェで話す場面。テラス席に座って生ぬるい風に吹かれながらお互いのことを話した。全てがどうでもいいと思えるぐらいに素敵な夜だった。
後から思い返すとそんな風に小ぎれいこざっぱりとまとめってしまうけど、当時の私はその夜のことを果たしてどう感じていたのだろう。思い出はいくらだって取り出せる。でもその中に感情はいない。思い出がどこかよそよそしいのはきっとそのせいなのだと思う。
書けば書くほどに私は多くのものを失ってきたのだと気付く。それでもきっと書き続けてしまうのだろう。全てを失うまで延々と。
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